
「学校に行くのが、とにかくめんどくさい」。なぜか足が学校に向かない。そんな言いようのない脱力感と焦燥感の中にいた島根県松江市出身の中学生、小川いつきくん(以下、いつきくん)。将来への漠然とした不安を抱えながらも、彼が一歩を踏み出すきっかけとなったのは地域みらい留学に参画する「佐賀県立唐津青翔高等学校(以下、唐津青翔)」との出会いでした。唐津青翔は全日制の公立高校で全国初のeスポーツ学科が開設され、全国的に注目を集める学校のひとつ。なぜ彼は親元を離れ、遠く離れた佐賀県の高校へ行く決意をしたのか。その心の変化を紐解きます。
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―小学校の時は、学校の中でどんな存在でしたか。
いつきくん 至って普通の生徒だったと思います。友達も普通にいて、テストも普通にできていて、ゲームするのが好きで。あとフェンシングをはじめて、これは今でも続けています。
小学4年生の時に、宿題を忘れすぎて、Switchを取り上げられたりもしましたけど、そこまで先生に煙たがれるような生徒でもなかったと思っています。至って普通のどこにでもいそうな男子小学生だったかなと(笑)。
―中学校に入ってからはどうでしたか。
いつきくん 中学校に入って間もない時期は、これまた普通の生徒です。実は、入学式から寝坊してしまって(笑)。周りには、中学校生活が楽しみにしていた友達もいましたが、自分自身はあまりそう思えなくて。大半は「中学校に入ると勉強がめんどくさそうだな」という感覚が強かったです。小学校の時のテストはそこそこ点数取ることができていたけど、勉強が好きな訳ではなかったので。
フェンシングはずっと続けていて、全国大会にも出場しています。点をとった時や勝った時の喜びはこの上ないですね。試合は疲れるんですけど、知らない相手と剣を交えることができるのが面白いと感じています。

―そこから転機が訪れたみたいですね。
いつきくん そうですね。中学1年生の3学期くらいから、急に「学校に行くのがめんどくさい」「動きたくない」という思いにどっと襲われたんです。そこから1年生の3学期は、ずっと学校を休みました。友達もいて、いじめられていた訳でもなければ、先生に嫌われていた訳でもない。説明しにくいんですが、学校に行くこと自体が嫌ということでもないんです。とにかく「めんどくさい」が勝ってしまうという感覚で、気が付いたら学校に足が向かずに毎日が過ぎていきました。
―中学校2年生になっても同様でしたか。
いつきくん 大きくは変わらず。「このままではヤバい」と思って、たまに行ったりはしていました。でも、基本的にはめんどくさくて学校に行かないという日々が続いていました。家では、動画編集をしたり、ゲームをしたりする時間が多かったと思います。
母親は学校のことはあまり言わないでいてくれます。ただ、家にいるなら家のことはしてほしいと言われていたので、家事はいつもしていましたね。
―では、高校受験のことを考えたりすることはありましたか。
いつきくん 中学校2年生の3学期の終わり頃。ふと将来のことを考えたときに、「高校卒業はしておいた方がいいよな・・・」という不安のような焦りのような、そんな気持ちに駆られるようになりました。自分なりに何か行動をしないとと思い、近くの私立高校や通信制高校を調べましたが、あまりピンとこず、このまま進学しても中学校の二の舞になってしまう気がしてなりませんでした。
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―そんな中で地域みらい留学とどうやって出会ったのでしょうか。
いつきくん 中学3年生の4月、母親と「どういう高校だったら行きたいの」という会話をしていた時のことです。ゲームがもともと好きだったので、「eスポーツができる学校だったら興味ある」なんて返事をしていたと思います。そしたら母親の職場の人が「ここならどう?」と佐賀県にある唐津青翔を紹介してくれました。直感的に“ここなら行きたいかも”と思ったことをよく覚えています。
―地域みらい留学を紹介してくれたというより、ピンポイントで唐津青翔を教えてくれたんですね。
いつきくん そうですね。唐津青翔が地域みらい留学に参画する学校だったので、東京で開催された地域みらい留学の「フェスin東京」に足を運んだんです。地域みらい留学の合同学校説明会にせっかく行くのだから、唐津青翔だけではなく、ほかの学校も見てみようと思って会場を歩き回りました。特に自然系のことが学べる学校には興味が湧いて、佐渡島の高校などいくつか話を聞けました。幅広く聞いてみたことで、色んなものに興味が湧いて、楽しく会場を周れたと思います。
―ほかの学校にも興味が湧いた中で、どうして唐津青翔に決めたんですか?
いつきくん オープンスクールが大きな決め手でした。eスポーツの学科があるのですが、プロゲーマーの方が来ていたことには驚きましたし、説明もわかりやすかった印象です。また、自然に興味があったのですが、唐津青翔の近隣も自然豊かで、ここでも十分自然に触れられると感じたことも大きかったと思います。そして、何より人がとても優しくて、温かく接してくれたことで、ここでなら生活していけるというイメージが湧きました。背中を押された気がします。
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―受検はどのように乗り切ったのでしょうか。
いつきくん 唐津青翔に行きたいという思いは膨らむ一方で、中学校にほとんど行っていないため、学力が身についていないことに焦りを感じました。でも、自分のまた悪い部分が出てしまって、勉強に対する「めんどくさい」という感情に負けてしまう日も多かったのも事実です。直前期になって、基礎だけでもしっかり対策をした感じで、正直なところ受からないんじゃないかと思っていました。
それでも合格発表の日に合格したことが分かった時は、「あ、番号あった…!」と驚きと安堵。仕事に出ていた母親や祖母にLINEで報告し、「おめでとう」と返ってきたときは、素直に嬉しかったです。
―高校は毎日通えそうですか。
いつきくん 勉強についていくことができるか不安はあります。でも、中学校の時の自分を繰り返したくないので、新しい友達を作って、助け合いながら学校に通えたらいいなと思っています。一人暮らしではなく、シェアハウスを選んだので、わからないことや困ったことがあれば、聞くこともできるし、友達との共同生活がとても楽しみです。
申請をすればアルバイトも可能だと聞いているので、自分で資金をためて、動画編集やゲームに打ち込めるパソコンを購入することが当面の目標です。学校生活を楽しみながら、自分の時間も充実させていきたいです。
(取材/編集:地域みらい留学 事務局 小谷祐介)
息子が学校に行かなくなった当初は、理由を問い詰めてしまう時期がありました。でも、ふと「息子の人生と自分の人生は別物だ」と気が付く瞬間があったんです。それからは、無理に登校させるのではなく、本人がこれからどう生きるのかという点に焦点を当てて接するようになりました。
中学卒業後のことを考えた際、通信制の高校や就職も視野には入っていましたが、最終的には本人が「唐津青翔で学びたい」と自分自身の言葉で語ったことが送り出す決め手になりました。
私や家族のもとを離れて生活していく中で、自分自身で自分の人生を切り拓き、決断していけるよう、人間的に成長してくれたらと願っています。
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▶佐賀県立唐津青翔高等学校の学校詳細ページ
https://c-mirai.jp/schools/d8e95eb2-cdc1-4e60-9aa7-921e01990425
▶私なりの学校選び4条件 ~私はこうやって大槌高校に出会った~
https://c-mirai.jp/news/experiences/1a5ef61d-0c86-4681-8933-c1199cbddfb1