「母の負担を減らしたい」地域みらい留学の奨学金で叶えた愛媛県立長浜高校への挑戦|とある青年が水族館部で夢追う話

「母の負担を減らしたい」地域みらい留学の奨学金で叶えた愛媛県立長浜高校への挑戦|とある青年が水族館部で夢追う話

シェアする

  • 先輩たちの体験談

小さい頃から、絵本より図鑑。魚や海、自分たちの暮らす地上とは違う海中の世界に魅了された秋野珠佑さん。広島県福山市出身の秋野さんは、中学進学時から「海の近くで生活したい」と、地元ではなく福山市立鞆の浦(とものうら)学園へ進学します。高校進学時は、より専門的に学びたいという思いから、地域みらい留学の第1期奨学生として愛媛県立長浜高等学校へ進学することに。秋野さんがそこまでして県外の高校へ留学したかった背景には、ある強い思いがありました。魚好きの息子と、彼を支え続けた母の物語を紐解きます。

高校1年生現在 愛媛県立長浜高等学校の水族館部で活躍する秋野さん(写真右)

海の生物に魅せられた広島の少年

-中学校も、あえて地元の学校ではないところを選んだのですね。

秋野さん: 家から自転車とバスを使って1時間かかる鞆の浦学園に進学しました。小さい頃からとにかく魚や海が好きで、絵本より図鑑というタイプだったんです。中学進学のタイミングで「どうしても海の近くで生活したい」と思い、母が紹介してくれた鞆の浦学園を選びました。校舎が海に近いだけでなく、学校の中に海水魚の水槽があったことも魅力的でしたね。 地元の友達と離れるのは少し寂しかったですが、新しい場所で友達ができること、何より海に近い場所で学校生活が送れることにワクワクしていました。

―中学時代に心に残っている活動はありますか。

秋野さん:魚の骨格標本をつくり、展示活動を行ったことはとても心に残っています。この展示を、たまたま日本でも有数のウナギ研究の先生が見に来てくれて、ウナギ研究に誘ってくれました。行動をすれば、その先に良い出会いや体験があることを学んだ気がします。

中学2年生 ウナギの養殖研究の様子

-鞆の浦学園での生活の中で、どのようにして長浜高校に出会ったのでしょうか。

秋野さん: 中学2年生の夏前ごろから、高校進学について考え始めました。「将来は水族館で働きたい」という夢があったので、魚について学べる学校をインターネットで探していたところ、長浜高校の「水族館部」の存在を知り、一気に興味が湧いたんです。 その年の夏に母とオープンスクールに足を運んだのですが、学校にある水槽の規模の大きさに圧倒されました。「ここで高校生活を送りたい!」と確信した瞬間でしたね。

母からの「NO」 地域みらい留学奨学金との出会い

-長浜高校の受検までの道のりはいかがでしたか。

秋野さん: 勉強はそこまで得意な方ではありませんでした(笑)。でも、長浜高校はどんどん知名度が上がって人気の学校になっていると知っていたので、「面接と作文は絶対に頑張らないといけない」と感じていました。 作文では、限られた文字数の中で自分がアピールできるポイントをできる限り詰め込み、面接では、作文だけでは伝えきれない行間の部分や補足をしっかり伝えられるよう意識して練習を重ねました。

-県外の高校に出ることをご家族に伝えたとき、どのような反応でしたか。

秋野さん: 実は少し前に両親が離婚していたので、経済的にも大変だったんじゃないかと思います。それでも母は、いつも僕のやりたいことを「やればいいよ」と背中を押してくれていました。長浜高校へ行きたいと伝えたときも、「お金や距離のことは気にしなくていい。自分がしっかり決めて、頑張れると思えた学校ならそこを目指しなさい」と応援してくれました。

-そんなご家庭の事情もある中で、奨学生への応募も決意されたのですね。

秋野さん: 毎日たくさん働いている母の姿を見ていたので、実は中学を卒業したら高校には進学せず、沖縄に渡って素潜り漁師として働き、自立して稼ごうと考えていた時期もあったんです。でも、母の反応は「NO」でした。「高校だけは出ておいた方がいい」と。 そうして進路を探す中で出会ったのが、長浜高校であり、地域みらい留学でした。奨学金の制度を知ったとき、「これに採用されれば、母の負担を少しでも減らしながら、自分のやりたいことが学べる」と考えて応募したんです。

-長浜高校の合格がわかったときは、どうでしたか。

秋野さん: 面接では自分の出せるものを余すことなく出し切り、やり切った感覚があったので自信はありましたが、やはり合格通知を見たときはホッとしました。祖父母もとても喜んでくれて、一緒に合格祝いのパーティをしたことは、今でも昨日のことのように覚えています。

長浜のお気に入りの景色

魚好きの青年は母を想い、スキに向かって前に進む

-実際に長浜高校に通い始めてみて、学校生活はいかがですか。

秋野さん: 毎日が本当に楽しくて、ずっと海に関わっていられるのが幸せです。周囲には自分と同じように魚や海が好きな仲間がたくさんいるので、マニアックな魚の話で盛り上がれるのがとにかく嬉しいですね。「魚の骨格標本」の話なんて、中学校のときはなかなか話せませんでしたから。

-これからの3年間で、どのように成長したいと考えていますか。

秋野さん: 将来「水族館で働く」という夢に向けて、ショーやステージ上でのトーク力、コミュニケーション能力を磨きたいです。長高水族館部では、定期的に地域の方に向けて水族館を開放してイベントを開催するのですが、先輩方はショーが始まるとスイッチがバチッと入って、本当に格好いいパフォーマンスをされるんです。「追いつけ、追い越せ」の気持ちで、その背中からたくさんのことを学びたいですね。

高校1年生現在 水族館部の活動でパフォーマンス

-ご家族と離れて暮らしてみて、お母さんの存在を改めてどのように感じていますか。

秋野さん: 中学校までは喧嘩もたくさんしました。でも今振り返ると、母は僕のために毎日働き、僕のために多くの時間を使ってくれていたんだなと改めて気づかされます。いつも僕のことを一番に応援してくれて。-思い返せば、母が家でゴロゴロしていたり、遊んでいたりする姿を見たことがありません。 今回、奨学生に採用していただけたことで、もし少しでも経済的な負担が軽減できているなら、これからは母自身の「楽しい」と思えることにお金や時間を使ってほしいなと思っています。

-これから地域みらい留学や奨学生への応募を考えている中学生に向けて、メッセージをお願いします。

秋野さん: この受検を通して、自分が本気になって行動した分だけ、周囲にはサポートしてくれる人が現れるんだということを学びました。だから、自分のやりたいことや好きなことがあるなら、まずは恐れずに自分から行動を起こしてみてほしいです。周囲の大人は、自分が思っている以上にしっかりと見てくれています。地域みらい留学の事務局の方々も含めて、夢の実現に向けて支えになってくれると思います。まずは一歩、行動を起こすこと。応援しています。

シェアする

©2024 地域みらい留学 All rights reserved.