宮崎県立飯野高等学校(以下、飯野高校)に地域みらい留学を利用し留学している大石初音さん(以下、初音さん)。現在は高校3年生で、探究活動やプロジェクト活動を精力的に実践し、プレゼン甲子園では優秀賞を獲得されています。「座学が苦手」としきりに話す初音さんは、飯野高校での留学経験を経て、4月からは広島県にある公立の叡啓大学に進学予定。どのような背景で叡啓大学に進学する選択をしたのか、お話しを伺ってみました。
―地域みらい留学をしようと思った経緯を教えて下さい。
初音さん 三重県名張市の出身で、中学校までは地元の学校に通っていました。高校進学を考えだした当時は、そもそも高校に行くかどうかも迷いました。学校の座学に苦手意識があり、このまま高校へ入学しても、遊んで終わってしまうのではないかと思ったんです。
―結果としてどのような選択に至ったのでしょうか。
初音さん 座学には苦手意識があったものの、学ぶ意欲自体はありました。英語は好きで、コミュニケーションツールとしての英語に関心を持っていて。どうせ進学するなら、スキを追求しようという思いで、鹿児島県にある国際系の専門学校に進学することに決めました。周囲は高校卒業した18歳・19歳の先輩もいれば、65歳の方までいて、360度どこを見渡しても、人生の先輩に囲まれる生活。とても刺激的な生活でした。
―そこから飯野高校にはどのように出会ったのでしょうか。
初音さん 専門学校が1年間のみの学校で、入学してその年の冬には、次の選択を迫られました。刺激的な毎日を送っていた一方で、先輩たちに囲まれたことで、自分の教養不足・知識不足を痛感。今からでも高校に行って、一般教養を学ばないといけない。そんな風に考えて、高校進学を考えました。たまたま、地域みらい留学のInstagramを見つけて、鹿児島から近かった飯野高校に見学に行ったという流れです。飯野高校流アクティブラーニングの話を聞くことができ、座学だけの学びに疑問を感じていた自分にとっては目から鱗。地域に出て、地域の課題を解決しながら学びを得るスタイルに感激して、受検を決めました。
―飯野高校で印象的だった出来事はありますか。
初音さん 沢山ありますが、特に印象に残っている2つをご紹介します。1つ目は、プレゼン甲子園に友人3人と挑戦したことです。テーマが「ウェルビーイング」についてで、3人で「ウェルビーイングってなんだろう」ってそれぞれ考えました。なかなか3人の考えがまとまらなかったときに、先生から「無理やりまとめなくても、それぞれの視点からのアプローチでもいいんじゃない」とアドバイスをもらい、それぞれの個性を押し出したプレゼンができました。結果として、優秀賞を獲得できたことは、嬉しい成果です。
―2つ目はどんなことでしょうか。
初音さん 5人の探究活動チーム「ネクション」で、えびの市の空き家増加問題に向き合ったことです。空き家を活用し、高校生や中学生が自由に使えるような、コワーキングスペースを作るというもの。資金調達面で壁にぶつかりながらも、地域の方と協働して、クラウドファンディング等にも挑戦しました。“5人だけ”で頑張るのではなく、町でYouTuberをされている方に力を借りて、柔軟に方針転換をしながら実行できたことが良かったと感じています。
―アクティブに活動をされている先に大学受験が控えていたと思いますが、どのように進路を考えていたのでしょうか。
初音さん 進路を考える上で、2つの軸があったように思います。先ほど挙げた、プレゼン甲子園の経験で、自分が教育に関心があるということを言語化していました。これが1つ目の軸になりました。もう1つの軸は、座学中心の学びではなく、フィールドワーク等を通して活動ができることです。
―どのような大学が候補になりましたか。
初音さん 進路希望調査の時に、東京の有名私立大学の教育系の学科を志望校に。オープンキャンパスに行き、率直に感じたのは「思っていたのと違う」です。志望大学を周囲にも言ってしまった手前、撤回しづらい感覚に囚われながら、「自分のやりたいことができるのって本当にここだっけ…」と焦りが募りました。そんな時に、飯野高校の進路担当の先生が、他の選択肢を複数提示してくれ、その中に広島県にある公立の叡啓大学がありました。
―先生の声掛けが進学先との出会いになったんですね。
初音さん その先生には「座学が嫌。社会に出ながら学びたい!」と普段から話していて。東京の大学を挙げたときから、「あいつ大丈夫かな」と気にかけてくれていたんじゃないかと、今になっては思います。
―実際に叡啓大学はイメージに合っていたのでしょうか。
初音さん 座学の比率が少なく、地域に出て学ぶというスタイルが自分のイメージにとても合っていると感じました。自分で問いを立てながら、フィールドに出て学ぶことができ、飯野高校・えびの市での探究経験も活かせる。直感的に“ここだ”と受験することを決めました。
―そこからの受験対策はどのような感じでしたか。
初音さん 総合型選抜で受験したので、志望理由書・小論文・グループディスカッション等の対策を進めました。志望理由書については、えびの市で濃い経験をさせてもらえたからこそ、欲張って高校時代の経験ばかり書いてしまっていたんです。先生に“大学に入って何がしたいか”をもっと伝えた方がいいじゃないとアドバイスをもらえたことで、良いブラッシュアップに繋がりました。グループディスカッションについては、周囲も総合型選抜や推薦入試で受験する友人が多かったので、受験科目にグループディスカッションがある生徒同士で週2回の練習。先生や友人に支えられながらの受験でしたね。
―周囲のサポートもあって、見事合格されましたが、大学ではどんなことにチャレンジしていきたいでしょうか。
初音さん 叡啓大学は過去を学ぶ大学ではなく、これからの未来を学ぶ大学です。教育の領域を見たときに、他の多くの大学は「昔は…」「これまでは…」と過去からのプロセスを学ぶことが多い。叡啓大学は未来に焦点を当てて、学んでいくことができるのがいいなと思っていますし、楽しみです。未来を見据えて、学びを自分からとりにいきたい。色んな学びを吸収しながら、“これから自分が創りたい教育って何なのか”といった軸を見つけていきたい、そんな風に思います。
―大学生活が楽しみですね!
初音さん 楽しみです。今後も色んな町を旅しながら、生きていきたいですし、またえびの市にも関われたらと思います。
※本記事は、2025年3月の取材をもとに記事制作を行っております
(取材・編集:地域みらい留学 事務局 小谷 祐介)