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体験談【大学合格体験記#2】“公園をつくるプロジェクト”が進路選択のキッカケに

【大学合格体験記#2】“公園をつくるプロジェクト”が進路選択のキッカケに

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 今回お話を伺ったのは、東京都立大学の人文社会学部に通う和泉哲さん(以下、哲さん)。現在は大学2年生で、島根県立島根中央高等学校(以下、島根中央高校)の卒業生です。東京から島根中央高校に地域留学した哲さんは、川本町でどのような経験をし、東京都立大学という進路を選択することになったのでしょうか。留学生活を振り返りながら、進路選択についてのお話をお聞きしました。

留学は自分でやらないといけない環境に身を置くための選択

―地域みらい留学をするまでは、どういう生活をしていたのでしょうか。

哲さん 島根中央高校に入るまでは、東京で生活していました。私立の小学校に受験して入り、中学校にもエスカレーターで入学。島根中央高校への入学をしなければ、高校・大学もそのまま入っていた可能性が高いと思います。

―なぜ、地域みらい留学をする選択をとったのでしょう。

哲さん 中学校までは暇さえあれば、スマートフォンを触る日々でした。そんな自分の姿を見かねた親から、少し自分の生活を見直してみてはと提案をされたんです。そこで生活を根本から見直すには、食事や洗濯なども自分でやらないといけない環境に身を置くのがいいのではと考え、寮生活ができる環境を調べることに。小学校から大学までエスカレーター方式のこのままの毎日では、自分を変えていくことができないのではとも思いました。

―そこで地域みらい留学に出会ったんですね。

哲さん そうです。その当時は、地域みらい留学ではなく、しまね留学という言葉でサイトを見つけたと記憶しています。東京で開催されていた説明会に行ってみて、候補を3校くらいに絞りました。そのうえで、現地に行ってみて、一番“人のあたたかさ”を感じた島根中央高校・川本町への留学を決意しました。

―留学生活の中で印象に残っていることはなんでしょうか。

哲さん 地域での暮らしの中で言えば、サルが道を歩いている光景をみたときの衝撃は今でも忘れられません。人とすれ違ったときに挨拶が返ってくる驚きも鮮明に覚えています。どちらも東京では見られないシーンでした。

学校や寮生活の中で言えば、島根中央高校は日本各地から生徒が集まっているので、様々な文化を肌で感じながら生活できたことは面白かったです。方言などもそうですが、東京にいると絶対に会わなかったような先輩にも恵まれました。

大学選択は“公園をつくるプロジェクト”に参加したことが発端

―では、進路について聞かせてください。

哲さん 島根中央高校を卒業して、東京都立大学の人文社会学部に入学しました。留学中の経験を活かすことで、学校推薦型の入試で合格を得ることができたと思います。

―なぜ、その大学・学部を選んだのでしょうか。

哲さん 高校2年生の時に、あそラボ(※)で“公園をつくるプロジェクト”に参加したことが発端です。あそラボに来ていた小学生が「遊ぶ場所が少ない」と聞いて、公園を整備できないかと。その過程でコミュニティの在り方に関心が向くようになったんです。地域や社会の中でコミュニティがどのような機能を果たすのか、人はどのようにコミュニティに関わるのかといった風に問いが出てきました。

※地域住民と川本町教育委員会が共同で運営する団体。カフェ運営等を通して、自分やりたいことを通じて地域とかかわりながら、総合型選抜入試にもつながる生徒の課外活動をサポート。高校生と地域住民などの交流の場。

―その問いが大学に繋がったのですね。

哲さん はい。川本町のことだけでなく、都市圏のことも学んでみたいと思いました。そうしたことが学べる領域が、地域社会学や都市社会学に当たると知って。そして、東京都立大学の先生のもとでなら、やりたいことが学べそうだと辿りつきました。

―東京都立大学への受験に向けては、どのようなことに力を入れましたか。

哲さん 川本町でやってきたことを、大学の学問と結び付け、学ぶ目的などを言語化するということにはかなりの時間を費やしました。あそラボの方々が、大学のディプロマポリシーやカリキュラムポリシーをしっかり読み解いて、話すことができるようにとアドバイスを下さったことはありがたかったです。学校の先生もあそラボの方も、模擬面接の相手をしてくれ、自分の言葉がブラッシュアップされていったと思います。

今後は川本町のよりディープな部分に関わっていきたい

―実際に大学に入り、やりたいことは学べていますか。

哲さん まだ2年生なので、教養科目も多く、専門的なことは部分的にしか始まっていませんが、東京のあきる野市へのインターンは興味深かったです。行政がどのようなまちづくりをしているのか間近で見ることができ、川本町での経験も活きたと感じました。

―東京に戻っての生活はいかがですか。

哲さん 川本町はとても良い環境でしたが、東京は便利でいいなと率直に感じます。ただ、これは一度外に出たからこそ感じることで。ありがたみが違います。寮生活を経たことで、生活面も改善できていると思いますね。

―東京へ戻られましたが、今後も川本町への関わりは続きますか。

哲さん 川本町に関わっていきたいという思いはあります。今までの自分は、地域への見方が表面的だったように思いますが、大学で学ぶことで見え方も変わってくるはずです。町の人の暮らしなど、よりディープなところに関わっていきたいと考えています。

また、卒業して2年経った現在でも関わりは実際に続いているんです。「しまちゅ~ぶ」という、島根中央高校や川本町の良いところを発信するためのYouTubeチャンネルを運営して、定期的に動画発信をしています。

―卒業した後もそのような活動をされているんですね。

哲さん 島根中央高校や川本町の魅力がまだまだ伝わり切っていない気がしていました。これは、入学を検討する方にも勿論ですが、在校生や卒業生に対しても。素晴らしい学びの環境があると感じていたので、それを在校生にも知ってもらい、思う存分に使ってほしいと思ったんです。卒業生に対しては、魅力の再認識をしてもらい、「久しぶりに川本町に行きたいな」と感じてもらう、繋がるきっかけのようなチャンネルになればいいなと考え活動しています。

―最後に島根中央高校や川本町の方々へメッセージをお願いします。

哲さん 島根中央高校に行く前後では、間違いなく自分に違いがあります。それは、やりたいことが明確に見つかったことです。川本町で暮らしや島根中央高校での先生方との関わり、あそラボの皆さんの伴走があったからこそ、そういう視点が自分に生まれたと思います。そうした環境を提供してくださったことに感謝でいっぱいです。今後は自分も力になっていくので、一緒に島根中央高校や川本町を進化させていきましょう。

 

※本記事は、2025年2月に実施した取材をもとに記事作成しております

(取材・編集:地域みらい留学 事務局 小谷祐介)

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