地域みらい留学

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NEWS

2019年7月7日

イベント

【地域みらい留学フェスタ2019】開催レポート~保護者編~
高校時代に「わざわざ地域へ留学する」のはなぜか。

地域に留学することを通じて得られる力とは?

そんな疑問に答えるイベント「地域みらい留学フェスタ2019」が6月29日、東京・渋谷で開催された。

今年、初めて企画された保護者たちのトークセッション。

ある保護者は、自分は子育てに「執着していた」と明かす。

語られたのは、学校のパンフレットだけではうかがい知ることのできない、子どもを送り出す側の本音だった。

(取材・文:千葉 雄登)

 

 

~最初は保護者の興味。息子が隠岐島前高校に入学するまで~

 

現在、高校3年生の長男が島根県立隠岐島前高校に通う應手さんは島留学の存在を友達夫婦を通じて知った。

息子にホームページを見せたときの第一声は「島か、遠いな…」というもの。

最初から乗り気というわけではなかった。

どちらかといえば、最初は保護者の方が強い興味を持っていたのも事実だ。

だが、都内で開催されていた「しまね留学」の説明会へ足を運び、そこで隠岐島前高校のプレゼンを聞いた。

 



 

『なんでかわからないけどワクワクするということで「オープンスクールくらいは行ってみない?」と勧めたところ、「まぁ行ってみるかな」と。そこから始まりました。』

 

実際に足を運んでみてわかることがある、と應手さんは強調する。

だが、夏休みを終わった途端、息子は現実へと引き戻されていった。

 

『夏休みが終わってみると現実に引き戻されるので、「やっぱり俺、無理かも」とか、「あんな意識高い子の中でやっていける自信がない」とかネガティブ発言がはじまるんですね。

2学期は保護者の私も相当応援しました。

メンタル面では割と二人三脚でサポートしたような感じですね』

 

「もうやめる?」と息子に問いかけたこともあったと振り返る。

だが、本人も隠岐島前高校への興味を捨てきれず、最終的には受験に挑戦することを決める。

評定を上げる努力に、受験に向けた勉強。

なんとか乗り越え入学することができた。

そこで應手さんは率直に、この1年での成長を実感できていないという本音を口にした。

だが、その話を思わぬ形で息子に遮られた。

 

『マシンガントークを遮られたのがはじめてだったんですよ、息子に。

「かあさん、いま俺の話だから」って。

「俺の通っている学校の話だからちょっと待って」って。

そんなこと初めての経験だったから、その時に息子の成長を感じました。

息子のことをまぶしく思えたし、島前高校に行ってよかったんだって思いました。

息子の成長を身近で目の当たりにすることができないので、こういった変化って日々の日常の中で埋もれていきますよね』

 

 

~子どもと離れ自覚したのは、自分の子育てへの「執着」だった。~

 

「地域みらい留学に参加すれば、うちの子は本当に変わりますか?」
「すごく優秀な子だから変わったんじゃないですか?」

ブースに立てば、そんな質問を多く投げかけられた。

こうした質問をしたくなってしまう保護者の気持ちはよくわかる。

だが、保護者たちが多く集まる会場で「変わるかどうかはわかりません」と應手さんはあえて断言する。

それはなぜか?

 



 

『うちの子はどちらかといえば平均的な子どもです。

成績表に2だって普通にある。

だからこそ、保護者としては偏差値で輪切りにされた高校に行かせたくなかった。

この子ならではの輝ける場所があるはずだと、そう信じて。

ずっと、私が連れて行ってあげる、あなたの可能性が引き出される場所を見つけてあげるという気持ちで子育てをしていたんです。

隠岐島前高校の入学式が終わり、入寮式が終わった時に気付いたんですよ、「あ、私はとんでもないことをしていたんだ」って』

 

それまでは息子に自分の力で歩いて行ってほしいと願いながら、背中を押し続けていた。

同じ景色を見ることができるのが何よりの喜びだった。

だが、それは「ただの執着だった」と気付いた。

 

『実は息子からも「お母さんは家庭の中ではニートだよね」と言われていた。

私の中では息子のために学校を選んだり、そうすることが喜びになっていたし、それが当たり前だと思っていたんです』

 

息子が隠岐島前高校に入学してから、自分も自分の人生を生きる時間が始まったのだと應手さんは語る。

保護者が魅力的に生きることは子の成長と無関係ではない、とも。

 

『保護者が魅力的に人生を送っていると余裕が生まれます。

余裕が生まれるといい意味で子どものことどうでもよくなってくるんですね、今は息子も「なんか母さんも楽しんでいるんだな」って思ってくれている』

 

それまでは子どもが歩く道を保護者である自分が切りひらき、手を引いていた。

だが、息子が島根に行ったことを機に、そんな子育てからは卒業した。

「雑草の中を自分の力で這ってでも進んで欲しい」と語る。

そうして「自分の人生を生きてほしい」と。

 

『私は、地域みらい留学と出会ってから本当に人生が変わりました。

だから、他の保護者さんも自分の子どもの力を信じていただきたい。

地域に留学したところで広がるのは日常です。

日常の積み重ねです。

非日常が起きるのか、ミラクルが起きるのかなんてわかりません。

けど、そういったことが長い人生の中で3年間あってもいいんじゃないかって思うんです』

2019年7月7日

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